未承認薬にアクセスする二つの国内公的制度 / 2 systems to get unapproved drugs in Japan

Companionate Use(以下、「CU」)」という制度を聞いたことがありますか。

総じて、人道的な配慮によって、患者に未認可薬の使用を許可する公的制度と理解してよいです。

「CUとは、未承認薬の使用を許可する治療オプションです。CUの各プログラムは、満足のいく治療法がない、もしくは治験に参加できない疾患を持つ患者のためにあります。開発中の新しい治療オプションを患者が利用できるよう推進するものです。」- European Medicines Agency

従来、未承認薬を巡る公的制度は、欧米での導入されたものですが、2016年、我が国で2つの新制度が施行されます。

Have you ever heard a name of system “Commpatinate Use (CU)”? This is a public system enabled to give relief to patients’ with unapproved drugs.

“Compassionate use is a treatment option that allows the use of an unauthorised medicine. Companionate use programmes are for patients who have a disease with no satisfactory authorised therapies or cannot enter a clinical trial. They are intended to facilitate the availability to patients of new treatment options under development”- European Medicines Agency

Though a treatment option that allows the use of unauthorised medicine have been enforced in EU and US, the 2 systems are going to start in Japan in 2016.

〈From here, I will write only Japanese referring Japanese ministry “Ministry of Health Labor and welfare” announcement.〉

1.「人道的見地から実施される治験(拡大治験)」

元来、ドラッグ・ラグ(欧米で承認済の医薬品が、日本で未承認となる状況)、及びそれに起因する諸問題を解消するために、日本版CU導入の機運が高まっていました。そこで導入されたのが拡大治験です。2016年1月22日をもって施行されました。

拡大治験では、まず医師が患者を「国内開発の最終段階である治験」(主たる治験)に参加できるかを検討します。参加できないとした場合に、拡大治験の実施を企業(製薬会社)に要望します。製薬会社は、リスクの高さや主たる治験への影響を勘案し、判断します。製薬会社が拒否した場合、医師は厚労省に拡大治験参加の可否について判断を仰ぐことができ、場合によっては製薬会社に対して拡大治験の実施を要請できますが、強制力はなく、最終決定権は製薬会社に委ねられます。

実施の全体的な流れ

Source: 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 website

1月22日付、厚労省から本制度の施行通達と併せて、Q&Aが発信されました。当該Q&Aによると制度の対象は「新薬として承認を見込む全治験薬」とされます。

「主たる治験は、適応を問わず、新医療用医薬品としての承認申請(効能追加等を含む)が見込まれる全ての治験薬が対象となると考えてよいか」との問いには「貴見のとおり」としています。また、海外治験結果を活用するブリッジングスタディも、主たる治験に該当するとされます。

未承認薬の治験がスタートすれば、年齢、身長体重、既往症などで治験の参加基準に満たない場合でも、患者が治験薬の費用を負担し診療が可能になります。(ちなみにプラセボ投与群は置かないため、実薬投与となります)

通知では「社会的要請度が高いと想定される医薬品については、当分の間、以下の医薬品が該当するものとする」と記載されます。

  • 米国の同様の制度で対象となっている医薬品
  • 先駆け審査指定制度に応募した医薬品
  • 希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けた医薬品
  • 未承認薬検討会議で開発要請を受けた医薬品

当該通知の発信をもって制度施行となりました。尚、今後は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトに、医師が参照すべき主たる治験の情報が1か月更新にて掲載される見通しです。

 

2.「患者申出療養」

患者の申出に基づいて国内未承認薬等を混合診療として使えるようにする仕組みで、2016年4月施行予定です。拡大治験とよく似ている制度ですが、大きく異なる点の一つに、当該国内未承認薬が海外で承認済であることが前提となります。対象のイメージ図はこちら

 

これら2つの制度をめぐる議論においては、次の課題があるものと思料します。

≪諸課題≫

(1)健康被害発生時の自己責任論と救済措置

未承認薬を対象とするだけに、患者が自己責任を受任するのはいうまでもない。ただし、もともとは患者を救済する制度であることが前提である。インフォームド・コンセントの充実化、損害賠償保険の加入義務化が必要ではないか。

(2)主たる治験への影響

(1)に起因して問題が発生した場合には、当然ながら主たる治験への進行に影響が生じ、本末転倒となる可能性もある。

(3) 多大な患者負担額

拡大治験においては、製薬会社の判断により、原則保険外適用として治療費のほとんどが自費負担となることが想定される。

「拡大治験においては、治験薬の製造、運搬、’管理及び保存並びに同種同効薬(ただし、医療保険が適用されない場合)にかかる費用について、拡大治験に参加する患者に応分の負担を求めることも認められる。なお、通常の治験と異なり人道的見地から実施されるものであるととに鑑み、通常の治験で支払われる負担軽減費については支給する必要は必ずしも無い」-厚労省(1月22日)「人道的見地から実施される治験の実施について」

また、患者申出療養においては、保険外併用療養制度の一つとして制定されるものの、患者負担の軽減は十分でないという試算が出されるなど、混合診療のあり方事態が問題視されている。国立がん研究センター「未承認薬を用いた場合の、患者さん自らが支払う医療費(モデルケース)」

これらの制度に関する詳細は、官公庁の公開文書のみならず、医師会・患者会、メディカルライターなどから様々な見解が出されています。是非、各位で現況を調べ、ご自身の意見を持ってください。

期待が大きい制度ではあるものの、既に批判的な見解が多く、当該制度を利用が困難である現状は否めないですが、当該情報を理解し、自身の問題として租借することは意義深いことだと考えます。はじめから、非の打ち所がない制度なんてそうそう存在はしないはず。様々な声が集まることによって、実用化可能な制度へと熟していくものと考えます。

○追伸

私がはじめて未承認薬の利用に関する制度の存在を知ったのは2014年の暮れ、敬愛するbeyond achondroplasiaを見てのことでした。ご紹介した公的制度に限定せず、未承認薬を巡る制度の概観や欧州のアクセス状況などが紹介されています。

Compassionate use policy for orphan drugs

http://beyondachondroplasia.org/blogue/?p=6004&lang=en

Source: beyond achondroplasia

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