2024年を迎えて -軟骨無形成症の将来を巡る重要な転換点となることを予感して-

2024年を迎えて -軟骨無形成症の将来を巡る重要な転換点となることを予感して-

多くの方が家族との大切な時間を過ごしていた元日において、突如発生した能登半島での大規模地震により、家族団欒の時間が大きく引き裂かれることになりました。建物の倒壊や大規模の火災、そして東日本大震災以来の大津波警報が発令されるなど、甚大な災害に端を発する2024年を迎えたものです。GTAでも被災地に縁のある方々が複数家族おられました。謹んでお悔やみを申し上げますとともに、発災直後から現地入りしている支援者の皆さまへの感謝と安全を願うものです。

2023年を振り返る
2023年は、新型コロナウイルスが第5類感染症に移行されたこともあり、感染に配慮しながらも大人数をお迎えしての対面の活動も復活させていくことができました。また、オンライン・トークイベント“Glory Person With ACH”では、従前以上に素晴らしい演者をお迎えすることができました。また例年、10月の世界小人症啓発月間に実施していたこのトークイベントを9月に実施することで、来たる月間の重要性や当事者や当事者家族が社会に参加していくことの意義を共有しました。

そして、11月には、世界で障がい者サッカーの1種目として位置付けられるこびとサッカー(英名:Dwarf Soccer)の第1回ワールドカップ(正式名称:Federación Internacional de Futbol Talla Baja)がアルゼンチンのブエノスアイレスで開催されました。GTAそして協力NPOの伝手を踏まえ、渡航支援を各企業に仰いだものです。知名度の低さや公式ウェブサイトの欠如の関連もあり、支援を拒絶する企業が相次ぐなか、唯一、米BridgeBioが本件の支援を快諾してくれました。甲斐あって、3人の当事者・アスリートが当地へ渡航することができ、各国の混成チームとして、大会に出場することが適いました。私たちが見た者は、国際社会への理解向上、啓発とための一大イベントに留まらず、国と国の威信や選手の誇りをかけた競技がそこにありました。この機会をくださった同社へは心より深く感謝申し上げます。

Source: Federación Internacional Futbol Talla Baja FIFTB

試練と挑戦の2024年
本年は、日本の軟骨無形成症を巡る歴史上の転換点であった、と将来に振り返った際に言われるような1年になるのではないかと予感しています。

1つは、GTAが従前より応援してきたDAIKIさんが、2024年の大河ドラマ「光る君へ」に、役名付き役者として、出演することです。

歴史と芸術における軟骨無形成症の活躍を踏まえると、「自らの身体」を「他を魅了すべき個性」と捉えて、組織への参加や大衆との関わりを実現してきたものです。それは、北米を起源とし、かつて日本でも一世を風靡したミゼット(こびと)プロレスも同様と思料します。

一方、今回の大河におけるDAIKIさんの出演は、そうした切り口でなく、健常者と遜色ない「当たり前の状態」を期待するものです。制作関係者によると、いわゆる障がい者が出演するのは大河ドラマ史上初とされます。

軟骨無形成症のコミュニティに関わらず、多くの大衆の皆様がDAIKIのご活躍を御覧になり、「障がい」と「個性」の認識のギャップが埋まる大きな転換点となれば幸いです。1月7日にスタートした本作に目が離せません。

2つ目は、アルゼンチンで経験した学びから、こびとサッカーを日本で盛り上げていく大きな機運を迎えるというものです。

国際的な障がい者サッカー連盟「Para Football」においては、ブラインドサッカー、メンタルヘルスサッカー、ダウン症サッカーといった12の公式種目が定義されています。日本では、2023年1月現在7種目が存在するも、こびとサッカーを広める団体はなく種目として実践することができません。一方で、南米では、10年以上の歴史を持っています。そのため、選出は健常者の国を代表するチームのユニフォームと同じユニフォームを着用して、自国政府やサッカー協会のバックアップのもと、こびとサッカーの専任組織や選手の育成が進展し、一定の地位を確立してきた背景があります。

先のこびとサッカーワールドカップでは、南米選手の活躍は目を見張るものがあり、彼らの自信や自己肯定感に繋がっていることを感じます。日本においても軟骨無形成症をはじめとした小人症の当事者や支援団体が地位を確立していくことは、このコミュニティの子どもたちの未来にとって必要不可欠な試みと考えます。

2024年は、FIFAワールドカップ26における2次予選(3・6月)および最終予選(9-12月)が予定される重要な1年です。知名度の定着には、長い期間を要することになりますが、アルゼンチンで学んだこの経験と2024年の試みが、何年か後に振り返った際の重要な転換点となり得るもの考えます。

終わりに
以上、GTAの2023年の取り組みと2024年の機運を述べてまいりました。一方で、軟骨無形成症を巡る当事者やご家族の皆様には、この特有の身体を巡る厳しい環境や難局に怯むことなく、積極的に何かに挑戦してほしい、と願っています。軟骨無形成症を巡るTV番組やインターネットの露出の機会、SNSでの積極的な周知・共有の機会も増えてまいりました。インフルエンサーの方々を初めて多くの皆様の試みに感銘を受けております。
本年の干支は「辰(たつ)」です。大きな変化や進化を遂げるという意味があるといわれています。
皆さんと共に、大きなうねりを作りながら将来への重要な転換点となる1年となることを心から祈念しています。

Representative, GLORY TO ACHONDROPLA
Eihaku Itooka

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